〒311-1392 大洗町磯浜町6881-275
茨城県大洗町教育委員会
教育委員長:柵山美代子殿

1、マスコミ報道によれば、7日18日の時点で貴教育委員会は来春から使用する中学歴史教科書
として「新しい歴史教科書をつくる会」の会員らが執筆した扶桑社の教科書を全員一致で選んでい
たことが報じられています。この教科書は平和憲法の目指す恒久平和の国是を自虐史観として否定
し、憲法9条を改悪して日本を戦争のできる国にしようとする勢力が作成したものであります。

2、採択に先だって貴教育委員会の委員、加藤氏は「新しい歴史教科書をつくる会」と連携し、同
会名誉会長西尾幹二氏を招いた講演会を企画して同会の宣伝・啓蒙活動を行っています。このこと
は西尾氏自らが書いた文章で認めているところです。この文章が引用している産経新聞の記事は氏
のホームページ http://nishio.main.jp/kako/kako39.htm に認めることができます。このとお
りであるとすれば、本来、憲法を遵守すべき公務員が憲法を否定し、一部の改憲勢力と結びついた
一方的な教科書決定に関わっていたのではないでしょうか。

3、埼玉県では知事推薦による県教育委員として「新しい歴史教科書をつくる会」元副会長の高橋
史朗氏を起用しました。埼玉県内で教育・研究に携わる人たちはこの人事に対して驚きと怒りを表
しました。高橋氏が教育委員に就任した場合の県教育行政への影響を憂慮したものです。「新しい
歴史教科書をつくる会」は地方議会議員に働きかけて教育行政への介入を強めており、教育行政に
大きな権限を持つ人事への介入は決して見過ごすことのできない事態です。

4、栃木県大田原市の市立中学全7校(生徒計約1660人)で来春から使う歴史教科書について、
大田原市教科書採択協議会の調査員会は、「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーが執筆した
扶桑社発行の教科書が望ましいとする報告をまとめております。同採択協議会は7月12日に開か
れ、この報告を基に市教委は7月13日に正式に同社の教科書採択を決めました。しかしこの採択
方法をめぐっては国内外から厳しい批判が出ており、その後同市の決定に関する反対運動が始まっ
ているところです。

5、ユネスコは、教育を「与えるものと受けるものの間の相互の働きかけにより、知識や技能・価
値観を移転するもの」と捉えています。貴委員会の決定はごく少数の権力者による一方的なもので
あり、戦後60年間培ってきた平和憲法の精神を真っ向から踏みにじる行為であります。このよう
なクーデター的な手法は民主主義とは相入れないものであり、なによりも子供たちが4年間の教育
期間にこの「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書による教育を受けることの不利益を考えるべ
きであります。

以上、1〜5に述べたように貴委員会の決定には重大な疑義があり、その責任は重大であります。
国家百年の計は教育にあると言います。戦後60年を経た今日、100年には後40年あります。
この40年間で更に平和憲法を世界に冠たるものとすることが日本国の使命であります。今回の教
科書採択が日本の将来に禍根を残すことは必至です。貴委員会において是非再考されんことを切に
願うものです。

2005年7月21日 埼玉県日高市平和委員会

<「つくる会」教科書不採択要請先>
大洗町教育委員会
住所:〒311-1392 大洗町磯浜町6881-275
電話番号:029-267-5111
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教育委員長:柵山美代子氏(さくやまみよこ)