ミサイル防衛(MDシステム)  PAC3配備前倒し 07年中に配備の方針(日本政府)

読売06.7.8 1面報道

ミサイル防衛PAC3、配備前倒し…来年中に4基体制

 政府は7日、2008年3月末をめどとしているミサイル防衛(MD)システムの地対空誘導弾パトリオット・ミサイル3(PAC3)3基の配備を前倒しし、07年中にも実施する方針を固めた。 以下、読売新聞オンラインより引用

北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け、迎撃体制のシステム整備を急ぐ必要があると判断した。

 防衛庁はPAC3の最初の1基を、2006年度末までに航空自衛隊第1高射群の本部がある入間基地(埼玉県)に配備する予定だ。

 その後、2007年度末までに同高射群の霞ヶ浦(茨城県)、習志野(千葉県)、武山(神奈川県)の3基地(高射隊=平和委注)に1基ずつ配備する計画だったが、これを前倒しし、2007年中に完了させたい考えだ。

 PAC3は1基でも迎撃能力を持つが、4基がセットになると穴のない迎撃体制をとることができる。

 政府は配備の前倒しにより、まず首都圏の防御体制を整えることにした。2010年度末までには、浜松基地(静岡県)のほか、中部・近畿、九州の両地域にも順次、配備する方針だ。

 2007年度末までの配備分は、米国メーカーからの輸入で調達することが決まっているため、契約や生産工程の問題で配備の前倒しは容易ではないとされる。しかし、北朝鮮のミサイル発射を受け、国民に日本のミサイル防衛体制への不安が広がっていることから、2007年度分だけでも配備を早めることにした。

 2008年度以降の配備分は国内でライセンス生産する予定で、今後、前倒しが可能かどうかを検討する。

 PAC3は、イージス艦に搭載するスタンダード・ミサイル3(SM3)と一体となって弾道ミサイルを迎撃する。

 SM3が発射直後から大気圏外に出た後までの迎撃を担当し、そこで撃ち漏らしたミサイルを、地上に配備したPAC3が大気圏への再突入時以降に迎撃する仕組みとなっている。PAC3の防護範囲は、半径数十キロとされる。

(記事出典 2006年7月8日3時6分   読売新聞 オンライン


迎撃ミサイルの配備予定 (読売記事などをもとに日高市平和委員会が作成)

年度 PAC3 配備基地 SM3 改修「搭載艦」 母港
2006 入間基地に1基  
2007 首都圏の残り3基 1隻目 「こんごう」 佐世保
2008 浜松基地に4基 2隻目 「きりしま」 横須賀
2009 中部・近畿地方に4基 3隻目 「みょうこう」 舞鶴
2010 九州地方に4基 4隻目 「ちょうかい」 佐世保
SM3の配備は現有イージス護衛艦4隻(こんごう型=表)を順次改装してミサイル発射機を搭載の予定。→長崎平和委員会ニュースに詳細。 新造の07年竣工の「あたご」、08年進水の「あしがら」はSM3搭載可能。

PAC3のランチャー(発射機 最大配備数=4基)の民有地への展開(およそ20〜30km圏)については2006年秋の国会に自衛隊法改正案が出てくる見通し。それまでは1基体制で配備。「国民保護法」による用地提供などが周辺地域に強制される惧れがある。 (2006年9月26日=日高市平和委員会)

2013/05/02  ページ更新