武蔵台の買い物難民

東急ストアが撤退し、住民の多くが「買い物難民」になった。

  2006年3月12日、撤退前の店舗

 

●しばし賑わう http://blog.goo.ne.jp/rinjuki/e/81c72d44ba41a7d71303968cf8188229

 買い物難民。。福祉ねっと主催、自治会共催のフリーマーケットを写真レポート(林住記 高麗便り)

●東急閉店  http://homepage2.nifty.com/koma/shopping%20center.html

 武蔵台の住民は「買い物難民」の代名詞? 遠く静岡の妹とひさしぶりに会ったら知っていた。このアドレスのページを見たらしい。

単行本紹介

買物難民―もうひとつの高齢者問題 (単行本)

こま武蔵台団地からスーパー(東急ストア)が撤退してから地元住民の多くは買物に困難さを来たしている。地元自治会では対策に乗り出しているがいろいろ困難が噴出している。

09年10月11日には地元有志が「フリーマーケット」を開催し、この買物問題の突破口にしようとしている。関係者の働きかけで国道299の部分改修にこぎつけた部分もあるが、最大の問題はお年寄りの買物である。若い人は車ですーっと出かけられるが、70,80になっての買物は不可能に近い。急坂の多いこの団地で心臓麻痺を起こすと大惨事になりかねない。

最近、TVでも取り上げられ「買い物難民」なる言葉が急に広がっている。参議院でも取り上げられ(丸川議員)た。

買物難民―もうひとつの高齢者問題 本が出ています。書評を転載しました。この問題を考える参考になれば良いと思います。

杉田 聡 (著)

書評1(Amazon) by Jing*3

本書で取り上げられている「買物難民」問題は、都市研究者の間でよく知られる英国の"Food Desert"問題と原因を同一にするものではあるが、英国の事例が低所得者層の多く住む地区への出店が避けられたことによる食料品・最寄品店舗の不足であるのに対し、本書で示される日本国内の事例は地域に関係なく高齢者層が食料品・最寄品を買う際の困難について言及したものである。 

小売業の郊外化とモータリゼーションの進展は、若者〜壮年にはクルマさえあれば豊富な品揃えの中から大量に商品を買うことを可能としたが、クルマの運転ができない層、特に、将来の運転免許取得により状況を脱することができる若年層ではなく、既に運転免許の新規取得どころか更新も困難である高齢者層にとっては、まさに「日々の食料に困る」という死活問題と化している。 
そこにおもな焦点を当てた研究、それも一般書として出版されたものは非常に数が少なく、それだけでも本書には相当価値があるといえるだろう。 

一方で、本書は問題提起のみならず、この問題の解決策をも示している。 
それは、既に過当競争が起こっているコンビニエンスストアにおいて高齢者向けの品揃えを強化することであったり、既存店舗からの宅配などの利用促進といったアイディアである。 
既に国民の22%が65歳以上の高齢者である(平成20年度)現代日本においては、これらの解決策が重要なポイントとなるであろう。 

ただ、惜しいところも本書にはある。 
社会学・地理学等の分野において既に相当の先行研究のある英国の事例、あるいは経営学的な視点の研究が多い米国の事例等、他国での事例についてほとんど触れられておらず、「買物難民」問題をあくまでドメスティックな問題として扱っている点である。 

日本以上の自動車化社会である米国の事例はもっと深刻である。 
彼の地では、足元もおぼつかない高齢者がよたよたとクルマに乗り、広大な郊外のショッピングセンターで青息吐息で買物をして、またふらふらとクルマで帰宅するという事例が既に日常茶飯事となっている。 
こうした他国との比較によるグローバルな視野の欠如が、本書の非常に惜しいところである。 
そこを勘案して、評価は星4つとさせていただいた。 
だが、現代日本の都市部における小売業を考えるには、避けられない資料ではある。 
矢作弘氏の『大型店とまちづくり―規制進むアメリカ,模索する日本』ともども、当該分野の研究者には一度目を通しておいて欲しい一冊である。

書評2(Amazon)

 著者にはクルマについて多数の著作があり、道路へのハンプや遮断機設置、クルマの価格を上げ、その銭で歩行者優先の道路改造を行え、との指摘は本書以前の著作から変わらぬ主張で、本書でも日本全国約120万KM中、歩道のある道路は10数%の現状をふまえての、高齢者(歩行者で事故被害者としての率は、全体の約50%)の安全を主とする道路行政への指摘は鋭い。

 中心街での完結する昔ながらの街づくりが、米の要求で1990年頃より郊外型大型店舗中心に移行し、商店街をシャッター通りに追いやった与党の責任は重い。
 日本では過去にも、ダイヤルQ2や民営化、教育政策など欧米で失敗したものを、その後取り入れると言うか、年次改革教書を律儀に守り押し付けられる事がままあるが、本問題も同じで、大型ショッピングモールの本場と言っていい米では既に青壮年層でさえ「店内が広すぎて買物が困難」との理由から、人気が落ちており、高齢者に至っては言わずもがなな結果を生んでいる。
 米の“買物難民”について指摘がないのは、他のレビュアー同様不満だが、そうであってさえ指摘する書籍が少ない中であっては、減点を踏みとどまる方がベターと感じた。

 内橋克人氏が規制緩和批判の際指摘したように、商店街を中心とした日本型経済を守らねばならないとの主張と、本書のそれはリンクする。
 消費者を呼び込むため、大型店の特価品における価格は非常に安く設定され、それに関連する商店が撤退を余儀なくされ、大型店しか買う場がなくなる。
 このような“焼畑商業”と名づけられた方法を、ウォルマートは意図的に追求し、仮にその大型店が撤退する際にも、大型店は商店街復興など地域振興への資金投下を行うはずもなく、買物ゴーストタウン化してしまうのである。

 地域の商店は、身体的・経済的事情から遠方の大型店へ行けなくなった人々、特に高齢者の生命線として守るような努力をせねばならぬのではないかと、クルマで大型店を訪れ買物をする前に考えることも必要であろう。

 最期にスウェーデンで、ストックホルムから100KM離れた物価の高い村に住む村の住民に、「何故ストックホルム迄買物に行かないのか?」と神野直彦氏が尋ねた際の住民の答えで〆る。
 「そんな事をしたら地元の商店がつぶれてしまう。   商店街が消えて困るのは町の住民・・・・中でも車に乗れない子どもやお年寄りだ、だから少々高くても日用品は地元の店で買う。」 (by ぽるじはど

丸川議員の質問抜粋 第171回国会 経済産業委員会 第23号 平成二十一年七月七日(火曜日)

 ・・・今、こうして民間の事業者といってもいろいろあるという中でお話をさせていただきましたけれども、私はここで、是非、地域のコミュニティーを買物というのが支えている、商店街というのが支えているという中で、その崩壊の危機があるんじゃないかという事例を一つ御紹介をさせていただきたいと思います。
 皆様のお手元に新聞の記事を配らせていただきました。これは六月に掲載されました読売新聞の「買い物難民」という記事でございます。これは、埼玉県の日高市のこま武蔵台団地という分譲住宅地のお話でございます。
 この住宅地、地元では武蔵台団地と呼ばれておりまして、東京のターミナル駅である池袋から電車で一時間ほどのところの駅前の台地に二千二百五十世帯、五千八百人の町が広がっております。昭和五十二年に大体四十代前半の夫婦や家族というのがここへ一遍に越してきて、そして町ができ上がったというところでございまして、言ってみれば東京のベッドタウン、その当時は埼玉都民というような、やゆされ方もしたそうでございますけれども、ピーク時には八千人が住んでいた。
 この町を支えていたのが、その町の駅の近くにある二十店舗ほどの商店街でございました。真ん中には小さいスーパーが入っておりまして、この地元の住民の皆様の生活を支えていた。ところが、ここは車社会の地域でもありまして、地元の商店街だけではなくて、郊外に進出してきた大手のスーパーでも皆様はお買物をされていた。
 そうこうするうちに子供たちが都心へ出てしまって、町はどんどんと高齢化が進みまして、今は六十五歳以上の世帯というものが町の四分の一を占めております。こうしたこともありまして、この町の商店街、二十店舗ありましたけれども、魚屋が店を閉じ、酒屋が店を閉じ、パン屋が店を閉じ、そしてついに去年の春になってスーパーが撤退をしてしまったわけであります。
 この記事で取り上げられている人というのは、七十五歳のときに免許を返上してしまった。そうするとどうなるか。ここは傾斜地でございまして、なかなか車以外の交通手段ということ、バスになるんですけれども、バスの乗り降りで買物に行くといいますと持てる荷物は限られておるということで、何とか自転車で買物に行くように頑張っておられるわけでございますが、傾斜地ですのでなかなかこの帰り道というのも大変であると。
 私、実際にこの記事で取り上げられている方にお目にかかってお話を伺ったんですが、かくしゃくとはしておられますけれども、やはり免許を返上するという状態でございますので、その二十分、三十分坂を押して家へ帰ってくるというのはやはり容易なことではないと。奥様はなかなかお買物にもう出られない状態であると。この先、どれだけこの町に住み続けられるだろうかというような思いで今過ごしていらっしゃるそうでございます。
 若い家族がいるところは土日にお買物に連れていってもらうんだけれども、それもやっぱり日常の買物をするに当たってはなかなか不便があるというので、今一生懸命地元でも考えておられる。宅配サービスというのが地元にもあるので、それを利用すればいいじゃないですかというふうによその者は思うんですけれども、私はその地元の方に、その自治会の方にもお目にかかって、その方にもお目にかかって話を伺いましたところ、いや、買物をするのは喜びなんですと、自分の目でその場所へ行って新鮮なものを見て選ぶというのは、それは喜びなんですということをおっしゃって、はっと何か目からうろこが落ちるような思いがいたしました。
 実は、私の祖母も八十八歳になりますけれども、いまだに毎日買物に参ります。毎日買物に行って、そこで物を見て、幾つかの店を回って、どっちが安い、あっちが安いというものを見るのは、これは自分の元気のためでもあるんだと言って出かけていくわけでございます。身内の者は多少心配もございますけれども、やっぱり長生きする、長生きして元気に生きることの一つが買物に行ける、自分で買物できるということなんだというのは、これ、今我々が本当にはっと気付かされることでもあるし、この先長生きしていく上でよく考えなきゃいけないんじゃないかなということを非常に強く感じるわけでございます。
 今、車生活前提の地域というのは日本全国に広がっております。今はまだ買物に行ける、だけど、何年か、あと十年もすれば免許を返上して、同じような悩みを持つ地域が全国に出てくるのではないか、私はそんな懸念を持っております。
 高市副大臣は、今この自分の目で見て買物ができる喜びということをおっしゃる人たちに向かって今どんな印象を持って受け止められたか、是非お話をいただきたいんですが、お願いできますでしょうか。
○副大臣(高市早苗君) 今、丸川委員のジャーナリスト精神は健在だなと思いながら拝聴いたしておりました。
 実は、この読売新聞の「買い物難民」のシリーズ、六月の頭ごろだったと思うんですが、私も家で読んでいて、その後、全部シリーズ読みたいなと思って切り抜いていたものでございました。なぜ目に付いたかといいますと、私自身の地元でも同じような相談をここ数年で急にたくさん受けるようになったからでございます。もちろん、私の両親も一時、片方が寝たきりの状態、病気でそうなったときに同じような悩みを聞いておりました。
 例えばある新興住宅地では、ほんの十年前のことなんですけれども、そのころはまだ皆さん、五十代半ば若しくは六十代半ばでお元気でした。そのときにミニスーパーがその新興住宅地のすぐそばにできるという計画が持ち上がったときに、自治会で署名を集めて進出反対の運動をしてしまわれたんです。それは、閑静な住宅環境を求めて移り住んだので、お店には来てほしくないというのがそのころの皆さんの意向でした。それから十年、最近、もう皆さん、車が運転できなくなったという方が増えてきて、あのときにスーパー来てもらったらよかったと、えらいことをしてしまったと、反対運動の中心になった方が今突き上げられ、挙げ句に便利な場所にあるマンションなんかへの引っ越しが進み始めたという状況が起きております。
 今、宅配サービスをやっている商店街は確かに全国でも出てきております。これはこれで大変便利なものですね。その現場に行って買物をして、持ち帰りが難しいので宅配してもらうという方法もあるし、全くちょっと家から出にくい状況、高齢者だけではなくて、けがをされたとか障害をお持ちの方、また妊娠中でちょっとおつらい時期の方、ちっちゃなお子さんがたくさんおいでで、三人乗りで自転車で行っちゃうと今度は荷物を持って帰れないといったお母さん方、こういった方がインターネットや商店街とのファクスサービスなんかで品物にチェックマークを付けて運んでもらうというようなことも普及してくると、ニーズはあるんだろうと思います。
 ただ、これからは、出張商店街ですとか、それから商店街に行くための巡回バスですとか、少し費用は掛かりますし、確かに人手も掛かりますけれども、そんなに毎日ではなく月に一度ですとか数回といったできる範囲でも、そういったサービスが各地で芽生えてくるといいんではないかと私は感じております。
 とにかくこの法案をできるだけ御活用いただき、また専門家の派遣なども行ってまいりますので、そんな中から地域のそれぞれのニーズにこたえていただけたらと思っております。
○丸川珠代君 ありがとうございます。
 高市副大臣のお地元でもこのようなお話を聞いていらっしゃるということで、恐らくはこれから全国各地でこういうことが上がってくるんだろうなと思います。
 実は、この武蔵台団地の商店街でも、空いている店舗で例えば青空市場ができないだろうかとか、あるいは、何とかこの地元に、空いているところにスーパーを入ってほしいということで、自治会の皆さん、非常に努力をして、いろんなところを回っていらっしゃいます。けれども、大手のスーパーさんのところへ行って御相談するとこういうふうに言われるんだそうです。スーパーは一万世帯、大体三万から四万人ぐらいの人がいないとあの地域じゃ進出ができないんですよと。ここは住民が六千人ということでございますので、ここはやっぱり何とか商店街の連携であるとか、地元の商店というものがどうやって頑張れるかというところで頑張っていかなきゃいけないのかなというところも感じていらっしゃるようでございます。